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マンションの相続税の計算方法や利用できる特例など

マンションを相続したときに気になるのが「相続税」です。

不動産は評価が複雑で、税額を把握しにくい傾向があります。

今回は、マンションの相続税の計算方法と利用できる主な特例をわかりやすく解説します。

マンションの相続税はどのように計算されるのか

マンションを相続した場合、相続税は「相続税評価額」に基づいて算出されます。

相続税評価額とは、実際の市場価格ではなく、国が定めた基準による不動産の価値です。

評価額に応じて税額が決まり、相続人の人数や他の財産と合わせた総額によっても変動します。

土地の評価方法

マンションの敷地部分(共有部分など)については、「路線価方式」「倍率方式」のどちらかで評価されます。

市街地などの評価では、国税庁が発表する「路線価」に基づき、土地の面積をかけて評価額を算出するのが一般的です。

一方で、路線価が定められていない地域では、「固定資産税評価額」に一定の倍率をかけて評価します。

計算式をまとめると、以下の通りです。

 

【路線価方式】

土地部分の相続税評価額=路線価×マンションの土地部分の面積

 

【倍率方式】

土地部分の相続税評価額=固定資産税の評価額×財産評価基準書の評価倍率

 

マンションの敷地が共有名義の場合、自分の持ち分に応じて評価額を按分します。

持ち分が3分の1の場合は、「路線価×マンションの敷地面積×1/3」で土地部分の相続税評価額を計算できます(路線価方式の場合)。

倍率方式に関しても同様で、計算式は「固定資産税の評価額×評価倍率×1/3」です。

建物の評価方法

建物部分の評価は、原則として固定資産税評価額を使います。

市区町村が毎年送付する「固定資産税納税通知書」に記載されている額が基準です。

築年数が経過しているマンションは評価額が低くなりやすく、その分、相続税も少なくなる傾向があります。

他にも、建物の構造や専有面積、所在地域など評価額に影響を与える要素はさまざまです。

最終的な相続税評価額

最終的な相続税評価額は、以下の通りです。

 

評価額=土地部分の相続税評価額+建物部分の相続税評価額

 

次に、相続税額の計算に移ります。

相続税額の計算手順とは

マンションを含む全財産の評価額を算出したら、次の手順で相続税を計算します。

相続税の基礎控除を差し引く

まず、「相続税の基礎控除額」を差し引きます。

基礎控除は以下のように計算されます。

 

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

 

たとえば、法定相続人が2人いる場合の基礎控除額は4,200万円です。

相続財産がこの金額を下回る場合、相続税は発生しません。

各相続人の取得額に応じて課税

基礎控除を差し引いた後の課税遺産総額を、法定相続分で分けた場合の各人の取得額に応じて税率を適用します。

税率は累進課税となっており、高額な財産を取得するほど税率も高くなります。

配偶者や未成年者への控除も考慮

課税額からさらに、配偶者控除、未成年者控除、障がい者控除などを適用します。

控除が行われたら、最終的な納税額が決まります。

マンション相続で活用できる主な特例

相続税を軽減するために、さまざまな特例を活用できる可能性があります。

小規模宅地等の特例

被相続人が居住していたマンションを相続する場合、「小規模宅地等の特例」が適用できるケースがあります。

特例により、敷地部分の評価額を最大80%減額可能です。

 

  • 特定居住用宅地(自宅の敷地)であれば330平方メートルまで対象
  • 配偶者または同居していた親族が引き続き居住することが条件

 

ただし厳密には、小規模宅地等の特例が使えるのは、マンションの土地部分(敷地権の共有持分)の評価額です。

建物部分の評価額には適用されないため注意してください。

配偶者の税額軽減

配偶者が相続する財産については、以下の範囲まで相続税が非課税となります。

 

  • 1億6,000万円まで
  • または、法定相続分の範囲内

 

上記のうち、どちらか多い金額まで、相続税はかかりません。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、2,500万円までの贈与を非課税とする制度で、相続時にまとめて精算する形です。

ただし、60歳以上の父母・祖父母などから、18歳以上の子・孫などに対して贈与された場合が対象です。

相続税計算の具体例

配偶者と子ども1人が相続し、相続財産が8,000万円ある場合の計算をシミュレーションします。

まず、基礎控除額を計算すると、以下のようになります。

 

3,000万円+(600万円×法定相続人2人)

=3,000万円+1,200万円

=4,200万円

 

「相続財産8,000万円−基礎控除4,200万円」で、課税遺産総額は3,800万円です。

次に、課税遺産総額を法定相続分で分けます。

 

  • 配偶者:1/2→1,900万円
  • 子ども:1/2→1,900万円

 

課税取得額が1,000万円超〜3,000万円以下の場合、税率が15%で控除額が50万円です。

税額は以下のようになります。

 

  • 配偶者:1,900万円 × 15% − 50万円=235万円
  • 子ども:1,900万円 × 15% − 50万円=235万円

 

ただし上記は、特例などを使っていない状態です。

小規模宅地等の特例や配偶者控除を使えば、さらに税額を抑えられる可能性があります。

まとめ

マンションの相続では、評価方法や特例の使い方で、税額が大きく変わります。

「小規模宅地等の特例」「配偶者の税額軽減」などの制度は、適用条件をよく理解して正しく活用すれば、大きな節税効果が期待できます。

不安がある場合は、税理士などの専門家への相談も視野に入れてみてください。

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髙岡 和人先生

髙岡 和人Takaoka Kazuto

青森県十和田市を中心に地域の皆様の身近な税務・法律のエキスパートとして豊富な案件に携わり研鑽を積んでまいりました。

相続税、贈与税、事業承継、農業経理、事業支援に関するご相談なら、経験豊富な当事務所にご相談ください。

所属
  • 東北税理士会十和田支部
  • 青森県行政書士会十和田支部
  • 青森県FP協会十和田支部
経歴
  • 福岡県鞍手郡小竹町(昭和27年2月)生まれ
  • 高校卒業後税務署に勤務 専修大学商学部卒業
  • 東京国税局管内 練馬・相模原・渋谷・王子税務署勤務
  • 仙台国税局出向 十和田・八戸税務署勤務
  • 平成5年8月十和田市で税理士事務所開業
  • 税務署では、所得税・源泉所得税・法人税を担当
  • 趣味は旅行、写真、ビデオ、ドローン撮影、乗馬 流鏑馬
舘花 満弘先生

舘花 満弘Tatehana Mitsuhiro

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所属
  • 東北税理士会十和田支部
経歴
  • 青森県八戸市(昭和44年6月)生まれ
  • 高校卒業後税務署に勤務 青森県立八戸高校卒業
  • 仙台国税局管内 八戸・黒石・むつ・青森・仙台国税局
  • 東京国税局・仙台南・盛岡・仙台中・十和田の各税務署
  • 国税局勤務
  • 令和3年7月 髙岡和人税理士事務所に勤務
  • 税務署では、法人税を担当
  • 趣味は、乗馬を開始

事務所概要

Office Overview

名称 髙岡和人税理士事務所
資格者氏名 髙岡 和人(たかおか かずと) 舘花 満弘(たてはな みつひろ)
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